経営革新計画書を作成しよう

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1.経営革新とは

「経営力向上計画」では基礎体力をつける事を重視していますが「経営革新計画書」では新たな事業活動に取り組む計画となっており、「経営力向上計画」よりは難易度がアップします。「経営革新」は「中小企業等経営強化法」では「事業者が新事業活動を行うことにより、その経営の想定程度の向上を図ること」と定義されています。

主な内容は以下の通りです。別表・別紙は特に経営計画書の作成に関連するフォーマットを中心に掲載しました。本フォーマットは経営革新計画の承認を得なくても、経営計画書のフォーマットとして役立てる事ができます。
1.経営革新とは
2.具体的な支援策の内容
3.経営革新計画の対象範囲
4.別表1 経営革新計画
5.別表2 実施計画と実績
6.別表3 経営計画及び資金計画
7.別表4 設備投資計画及び運転資金計画
8.別紙2 新規性について
9.別紙2 実現可能性について
10.別紙3 既存事業及び新事業売上と営業利益計画

以下のような特徴があります。
・業種による制約条件を付けないで、全業種の経営革新を支援
・単独の企業だけでなく、任意グループや組合等の柔軟な連携体制での経営革新計画の実施が可能
・具体的な数値目標を含んだ経営革新計画の作成
・都道府県等が、承認企業に対して経営革新計画の開始時から1年目以降2年目以前に、進歩状況の調査(フォローアップ調査)を行うとともに、必要な指導・助言を行う。

新事業活動とは以下のような活動をいいます。
・新商品の開発又は生産
・新役務の開発又は提供
・商品の新たな生産又は販売の方式の導入
・役務の新たな提供の方式の導入
・技術に関する研究開発及びその成果の利用その他の新たな事業活動

これまでに全くない「新商品」「新役務」を開発することは難しいので、既に他社において採用されている技術・方式を活用する場合でも、原則として承認の対象になります。ただし、それぞれについて既に相当程度普及している技術・方式等の導入については、承認対象外となります。

経営革新計画として承認されるためには、次の2つの指標が事業期間の3年~5年終了時に「図1.「付加価値額」又は「一人当たりの付加価値額」、「給与支給総額」の伸び率」を目標とします。
・「付加価値額」又は「一人当たりの付加価値額」の伸び率
・「給与支給総額」の伸び率

図1.「付加価値額」又は「一人当たりの付加価値額」、「給与支給総額」の伸び率

付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
一人当たりの付加価値額=付加価値額/従業員数
給与支給総額=役員報酬+給料+賃金+賞与+各種手当

2.具体的な支援策の内容

1)信用保証の特例

「信用保証」とは中小企業者が金融機関から融資を受ける際、信用保証協会が債務保証をする制度です。

信用保証協会の通常保証枠に加えて、同額の別枠がプラスされます。通常枠に加えて信用保証協会の通常保証枠は次の通りです。
普通保証 2億円(組合は4億円)
無担保保証 8000万円
特別小口保証 無担保保証8000万円のうち2000万円

特別小口保証とは、無担保・無保証人となる保証形態です。

さらに新事業開拓保証の対象となるもの(研究開発費用)については付保限度額が以下の通り引き上げられます。
普通保証 2億円 → 3億円
組合の場合 4億円 → 6億円

2)日本政策金融公庫の特別利率による融資制度

日本政策金融公庫では、中小企業者に対して事業に必要な資金を長期・固定で融資しています。経営革新計画に基づく事業を行うために必要な設備資金及び運転資金については金利が優遇されます。

3)高度化融資制度

高度化事業とは中小企業者が共同で工場団地を建設したり、商店街にアーケードを設置する事業などに対し、都道府県と独立行政法人中小企業基盤整備機構の診断・助言を受けた上で、長期・低利で融資が受けられます。さらに、経営革新計画に基づき下記の高度化事業を実施する組合等は、無利子になります。

集団化事業
生産や物流に適した場所に工場団地などをつくり、集団で移転する事業です。

施設集約化事業
工場などが1つに集まって、設備の整った施設をつくり、集団で入居する事業です。

共同施設事業
物流センターや最新設備の研究施設など、共同で使う施設をつくる事業です。

設備リース事業
1社では導入が難しい設備を組合で購入して、各組合員企業に買取予約付きでリースする事業です。

企業合同事業
中小企業者が相互に合併したり、出資会社を設立して、事業の集約化、事業転換、研究開発の成果の利用を図る事業です。

経営革新計画承認グループ事業
承認された経営革新計画に従って、新商品・新技術開発や情報収集を行うために、共同で利用する研究施設や試験機器などを設置する事業です。

4)食品等流通合理化促進機構による債務保証

食品製造業者等は経営革新計画の実行にあたり、金融機関から融資を受けた際に、食品等流通合理化促進機構による債務保証が受けられます。

5)海外展開に伴う資金調達の支援措置

(1)現地子会社の資金調達支援
日本政策金融公庫の債務保証業務、日本貿易保険の保険業務を通じ、中小企業者の外国関連法人等の現地通貨建ての円滑な資金調達を支援します。

(2)海外展開のための国内における資金調達支援
中小企業信用保険法の保険限度額の増額により、日本企業が海外展開を図る際に、外国法人を設立した場合における出資、貸付に要する資金調達を支援します。

6)投資に対する支援措置

(1)起業支援ファンドからの投資
ベンチャー企業等への投資の円滑化を目的として民間のベンチャーキャピタル等が運営するベンチャーファンド(投資事業有限責任組合)へ中小企業基盤整備機構が出資を行い、当該ファンドがベンチャー企業等へ投資を行うことにより、資金調達支援及び経営支援を行います。起業支援ファンドは、主に創業又は成長初期の段階にあるベンチャー企業等へ投資を行うファンドです。

(2)中小企業投資育成株式会社からの投資
原則、資本金の額が3億円以下の株式会社が中小企業投資育成会社からの投資を受けることによって、自己資本の充実とその健全な発展を図ることができます。

3.経営革新計画の対象範囲

以下の事業を営んでいる業種に対して常時使用する従業員の数が基準以下の場合には、経営革新計画の対象となります。

図2.業種別従業員基準

ただし、2023年3月31日までは以下の資本金基準または従業員基準のいずれかに該当する会社及び個人も対象となります。


図3.業種別資本金基準・従業員基準

4.別表1 経営革新計画

以下は、「経営革新計画 進め方ガイドブック」に掲載されているサンプルです。実際の手続きは都道府県等に行いますが、都道府県によって若干フォーマットが異なりますので、ご注意下さい。


図4.(別表1)経営革新計画

5.別表2 実施計画と実績

実施計画は具体的な目標が明確でないと定める事が難しいのではないかと思います。以降の「(別表3)経営計画及び資金計画」「(別表4)設備投資計画及び運転資金計画」等を作成することによって、実施すべき内容が明確になるのではないかと思います。


図5.(別表2)実施計画と実績

6.別表3 経営計画及び資金計画

まずは直近3年間の決算書から記入して下さい。計画に関しては、数値の根拠などを別紙に記載しておくと具体的な計画内容として落とし込みやすいかと思います。

図6.(別表3)経営計画及び資金計画

各種指標は以下の通りに算出します。
付加価値額:営業利益+人件費+減価償却費
1人当たりの付加価値額:付加価値額÷従業員数
営業利益:売上総利益(売上高-売上原価)ー販売費及び一般管理費
給与支給総額:役員報酬+給与+賃金+賞与+各種手当

7.別表4 設備投資計画及び運転資金計画

図7.(別表4)設備投資計画及び運転資金計画

8.別紙2 新規性について

本紙は「経営革新計画 進め方ガイドブック」に掲載されていないフォーマットです。本紙は大阪府の手引きに記載されていたフォーマット及び内容を記載しております。主には、商品・サービス内容についてです。具体的には、品質・機能面、価格・コスト面、生産体制・供給体制について記載します。

図8.(別紙2)新規性について

9.別紙2 実現可能性について

本紙は「経営革新計画 進め方ガイドブック」に掲載されていないフォーマットです。本紙は大阪府の手引きに記載されていたフォーマット及び内容を記載しております。具体的には、上段でマーケティングに関する事を、下段で組織に関する事を記入します。

図9.(別紙2)実現可能性について

10.別紙3 既存事業及び新事業売上と営業利益計画

別表3でも売上高を記入しました。大阪府のフォーマットでは下図の通り、既存事業の売上高と新事業の売上高に分けて記載する必要があります。売上高などを記載する場合には、客数×客単価を積み上げるなどの根拠が必要です。例えば、客数×客単価にて計画することで1か月の客数が明確になり、販売戦略に繋がってきます。また、客単価を明確にすることで、商品・サービスの内容を明確にすることができます。


図10.(別紙3)既存事業及び新事業売上と営業利益計画

承認後ですが概ね1年経過及び期間満了時に中小企業等経営強化法に基づいて計画の進捗状況に関する調査が実施されます。


当社は経営計画書の作成を支援します。

株式会社 アイライト
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